はじめに:なぜ今、プロテインが注目されているのか
「プロテイン=筋トレをしている人のもの」
そんなイメージを持っていませんか?
実は、プロテイン(=タンパク質)は筋肉だけでなく、皮膚・髪・骨・ホルモン・免疫細胞など、私たちの身体のほとんどを構成する“生命の材料”です。
近年の研究では、日本人の多くが慢性的なたんぱく質不足であることが報告されています。特に40代以降は筋肉量の減少(サルコペニア)、代謝低下、免疫力の低下が進みやすく、年齢に応じたプロテイン摂取の工夫が健康寿命を左右すると考えられています。
本記事では、理学療法士の視点から「プロテインの種類と効果」、そして「年齢別におすすめのプロテインと摂取タイミング」について、科学的エビデンスを交えてわかりやすく解説します。
プロテインの種類と特徴を知る
🥛 ホエイプロテイン
牛乳由来の「乳清」から作られるプロテインで、吸収スピードが非常に速く、筋肉合成に最も効果的です。
運動直後の摂取で筋肉の修復と成長を強力にサポートします。
BCAA(ロイシン・イソロイシン・バリン)を多く含み、筋肉の分解を防ぐ効果も。
研究報告: Tipton KDら(2001)は、運動直後にホエイを摂取した場合、筋タンパク合成率が約2倍に上昇することを報告しています。
🧀 カゼインプロテイン
同じく牛乳由来ですが、吸収がゆっくりで、6〜8時間かけてアミノ酸を供給します。
そのため、就寝前に摂ることで夜間の筋肉分解を防ぎ、筋肉の維持に役立ちます。
また満腹感が持続するため、ダイエット中の間食代わりにもおすすめ。
🌱 ソイプロテイン(大豆由来)
植物性プロテインの代表格。吸収は中程度で、イソフラボンによる女性ホルモン様作用があることから、美肌・骨密度維持・更年期対策にも効果的です。
脂質が少なく、コレステロールを下げる作用も報告されています。
研究報告: Messina M(2010)は、ソイプロテイン摂取が骨密度の維持と皮膚のコラーゲン保持に寄与すると報告しています。
🍳 エッグプロテイン(卵白由来)
吸収効率が高く、乳製品や大豆にアレルギーがある人でも摂取可能。
アミノ酸スコア(たんぱく質の質)は100と非常に高く、筋合成にも優れています。
🌾 ピー(えんどう豆)・ライス(玄米)プロテイン
近年人気の植物性プロテイン。腸に優しく、グルテン・乳・大豆アレルギーの人にも対応。
消化吸収が穏やかで、慢性炎症を抑える効果も示唆されています。
プロテインの効果を科学的に見る
プロテイン摂取がもたらす主な効果には、以下のようなものがあります。
- 筋肉の合成と修復促進
→ Phillips SM et al., Am J Clin Nutr, 2016:1.6 g/kg/日で筋肥大効果最大。 - 高齢者の筋力維持・サルコペニア予防
→ Bauer J et al., Clin Nutr, 2013:65歳以上では1.2–1.5 g/kg/日を推奨。 - 脂肪燃焼と代謝改善
→ Leidy HJ et al., Am J Clin Nutr, 2015:高タンパク食で食欲抑制・脂肪減少。 - 免疫維持・アンチエイジング効果
→ Moriguchi et al., Nutrients, 2020:タンパク質摂取が免疫細胞活性を維持。
🧮 タンパク質の1日の必要量(体重1kgあたり)
| 区分 | 推奨量(g/kg体重) | 体重60kgの場合 | 根拠・出典 |
|---|---|---|---|
| 一般成人(健康維持) | 1.0 g/kg | 約60g/日 | 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2025年版) |
| 高齢者(65歳以上) | 1.2〜1.5 g/kg | 約72〜90g/日 | Bauer et al., Clin Nutr, 2013 |
| 筋トレ・スポーツ愛好者 | 1.6〜2.0 g/kg | 約96〜120g/日 | Phillips et al., Am J Clin Nutr, 2016 |
| ダイエット中の人 | 1.5〜2.0 g/kg | 約90〜120g/日 | Leidy et al., Am J Clin Nutr, 2015 |
🍗 どのくらい食べればいいの?
| 食品 | タンパク質量(目安) |
|---|---|
| 鶏むね肉 100g | 約23g |
| 卵 1個 | 約6g |
| 納豆 1パック | 約8g |
| 豆腐 半丁(150g) | 約10g |
| 牛乳 200ml | 約6g |
| プロテイン 1杯(20g粉末) | 約15〜20g |
👉 3食で40〜60g、間食やプロテインで+20〜40gを補うとバランスが良いです。
プロテインなしで必要量を確保しようとすると、かなり意識的に食事内容を考えないといけないことがわかります。高齢者は特にサルコペニアの予防という視点から一般よりも必要量が多くなっています。年齢を重ねると若い時のようにたくさん食べられなくなるのにタンパク質の量は多くとらなければなりません。食事の「質」が大切になってきます。健康や美容に気を付けている方も同様です。
💡 筆者の失敗談:プロテインの摂取量と運動量のバランスに注意!
ここで少し、私自身の体験を紹介します。
理学療法士として健康指導をする立場でありながら、かつて私も「プロテイン=たくさん飲めば筋肉が増える」と信じていた時期がありました。20代の頃筋トレにはまっていた学生時代の話です。
摂取していた種類はホエイプロテイン。毎日就寝前に飲んでいました。摂取する量はプロテインの商品の裏に書いてあるスプーン1杯。水で溶かすとおいしくなかったので牛乳で溶かしていました。学生時代なので少しずつ身体のことを勉強しており、筋肉には超回復が必要だと知っていたので、筋トレの頻度は週3回程度。浅い知識でお恥ずかしい限りでございます。
筋肉をつけようと積極的にプロテインを摂取しましたが、結果として体重だけが増え、体脂肪率も上昇してしまったのです。
当時は筋肉を増やすつもりが、摂取カロリー>消費カロリーとなり、
「タンパク質=カロリー源である」という基本を見落としていました。
タンパク質も最終的にはエネルギーとして代謝されるため、
運動量に見合わない過剰摂取は脂肪増加につながる可能性があります。
現在は、
- 1日の摂取量を体重1.2〜1.5g/kg程度に調整
- 運動の強度や頻度に応じて量を微調整
- 夜間は吸収の穏やかなソイやカゼインを利用
といった工夫で、体重・体組成のバランスを保つようにしています。
👉 この経験から学んだのは、プロテインはあくまで「栄養補助」であり、
「運動・睡眠・食事全体のバランス」こそが健康づくりの基本だということです。
目的別に見るおすすめプロテインと摂取のポイント
筋肉を増やしたい!
- おすすめ:ホエイプロテイン(WPIタイプ)
- 摂取タイミング:
① 就寝前
② 運動後30分以内
成長ホルモンが分泌されるタイミングで筋肉にアミノ酸を供給することが大切です。就寝時や運動後30分以内は成長ホルモンの分泌が多くなるためそのタイミングで摂取することが理想です。特に運動後は吸収率の良いものが良いためホエイプロテインが良いでしょう。
- 注意:
就寝前のプロテイン摂取は脂肪にも変換されやすいため、摂取量や1日の食事のバランスをみて慎重に摂取しましょう。
🔹 ダイエット+美肌
- おすすめ:ソイプロテイン
- 摂取タイミング:
① 朝食時
② 間食代わり
③ 軽い運動後
ソイプロテインはホエイプロテインと比較して吸収速度が緩やかです。朝に摂取したり間食代わりに摂取すると満腹感が持続するので過食を防ぐことができます。また大豆由来のソイプロテインはイソフラボンが含まれており、女性ホルモン様の働きが期待できるため美肌にも有効です。
- ポイント:代謝低下を防ぐため、1日を通してこまめに摂取。
ホルモン変化が始まる年代にはソイ由来のイソフラボンが有効。
サルコペニア・フレイル予防(高齢者)
- おすすめ:ホエイ or ピー/ライスプロテイン(消化吸収が良い)
- 摂取タイミング:
① 朝(体内アミノ酸が枯渇)
② 昼食後(血糖値の安定にも)
③ 就寝前(カゼインorソイも可) - ポイント:高齢者では「ロイシン含有量」が重要。BCAAのうちロイシンが筋の合成を促進するという研究報告があります。成分表をみてロイシンの含有量をみてみるのもよいでしょう。
→ Volpi E et al., J Gerontol, 2013:ロイシン摂取が筋合成を促進。
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プロテイン摂取タイミングまとめ
| タイミング | 意図 | 推奨タイプ |
|---|---|---|
| 起床直後 | 体内アミノ酸の補給 | ホエイ/ソイ |
| 運動後30分以内 | 筋肉修復・合成促進 | ホエイ(WPI) |
| 間食時 | 栄養補助・食欲抑制 | ソイ/ピー |
| 就寝前 | 夜間の筋分解抑制 | カゼイン/ソイ |
よくある質問
Q:プロテインを飲みすぎると腎臓に悪いのでは?
→ 健康な人では問題ありません。
Antonio J et al., J Nutr Metab, 2016は、1年間高タンパク食を続けても腎機能に悪影響がなかったと報告しています。
ただし、腎疾患のある方は医師に相談が必要です。
Q:食事とプロテイン、どちらを優先すべき?
→ 基本は「食事で7割+プロテインで3割」。
食事で摂りきれない分をサプリメントで補うのが理想です。
まとめ:年齢に合わせたプロテイン戦略で「老けない身体」をつくる
若い頃は「筋肉を増やすためのプロテイン」
中年期以降は「筋肉を守り、代謝と免疫を維持するためのプロテイン」
高齢期では「健康寿命を延ばすためのプロテイン」
つまり、プロテインは**一生を通じて必要な“健康投資”**です。
あなたの年齢・目的に合ったプロテインを上手に活用し、
「動ける・疲れにくい・老けにくい」身体を目指しましょう。
参考文献(主要エビデンス)
- Phillips SM, et al. Am J Clin Nutr, 2016.
- Bauer J, et al. Clin Nutr, 2013.
- Tipton KD, et al. J Physiol, 2001.
- Leidy HJ, et al. Am J Clin Nutr, 2015.
- Messina M, Nutrients, 2010.
- Volpi E, et al. J Gerontol, 2013.
- Antonio J, et al. J Nutr Metab, 2016.
- Moriguchi et al., Nutrients, 2020.


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